「文鳥と暮らすひと」第12回は桜文鳥きみたろと暮らすぴさんです。インタビューは2023年2月に行いました。「文鳥の友4号」に掲載された記事の完全版です。
夫と子どもと文鳥と暮らしています。いつも腰が痛いです。
Twitterのアイコンの白文鳥さんはどなたですか?
二代目に飼っていた白文鳥です。私が大学生になって一人暮らしした時に飼った文鳥なんですけど、一番最初の初代文鳥は小学生の頃に飼っていて、だいぶ間が空いていて。小学生の頃は鳥の情報が何もなかったのでインコの飼育書とかを読んでなんとなく飼ってたんですよ。で、次にお迎えするときはしっかり色々情報を集めてからお迎えしようと思って迎えた仔です。
大学時代は文鳥と一緒だったんですね。
そうなんですよ。今みたいに見守りカメラも無かったので留守中は友達に鍵を預けて様子を見てもらったりとかして、かなり人にお世話になってました。
きみたろちゃん(以下きみたろ)の名前の由来は?
文鳥好きの友達と世間話してた時に「最近妊婦さんでお腹の中の子に名前をつけてる人がいるんだってね」という話になって、自分達だったらどうするとなった時に「鳥が好きだから黄身から生まれた黄身太郎がいいんじゃない?」と友達と話してたんですよ。それでぽっと出たフレーズだったんですけどすごく気に入って、もしこの先文鳥をお迎えするんだったら「黄身太郎」って名前をつけようとなんとなくずっと覚えてたんですね。
きみたろは女の子でしたが、お迎えしたときはオスだと思っていたのですか?
どちらかと言うとオスであってほしいなと言う気持ちが大きくて。昔飼っていた文鳥がメスで卵問題で苦労したので、オスだとそういう心配しなくていいな〜と思ってきみたろとずっと呼んでました。初めて小鳥の病院で健康診断を受けた時に「たぶんメスだよ」と言われてたんですけど、「ぐぜりが遅いのかもしれない」と思ってました。
顔立ちはメスらしい優しい顔立ちですね。
そうですよね(笑)。選ぶ文鳥が全部メスなので、私はメスの顔が好みだと思うんですよね。
きみたろが小さい頃はあまり写真が無いと伺っていますが。
はい、もったいないことをしたなと今は思います。
アイコンになってる白文鳥の ぴさんって言うんですけど、ぴさんにものすごく愛情を注いで大変なことになったので(笑)。文鳥を飼うと大変なことになるって分かってたのであまりのめり込まないように接しようと努めていたのでひなの時の写真があまり無いですね。
一体どんな大変なことが!?
近所に住んでいる友達を巻き込んで泊まり込みで世話してもらったり(笑)。お世話する時も手書きの注意書きを何ページにもわたって書いて、この通りにチェックしてやってっていう指示書を書いたりとか。
迷惑だったろうなって今は思うんですけど(笑)。
分厚いマニュアルがあったわけですね。
本当に文鳥中心の生活になって、大学生としてはそんなに外遊びしなかったんじゃないかなと思います。
お家で文鳥と遊んでいるだけで楽しいので。
旅行へ行く時も心配になりますよね。
今みたいに見守りカメラがないから心配で。
卵の心配は今は大丈夫ですか?
今もありますけど、きみたろが1歳の時の冬のワンシーズンだけ卵を産んで、それ以降はずっと卵を産んでいないので今は発情だけ気をつけていれば大丈夫という感じですね。
きみたろは食餌制限をされているそうですね。
餌を0.1g単位で計量して体重がちょっとでも増えたら餌の分量を加減して。あまりにも増えすぎだなっていう時は私が(きみたろの前から)いなくなったりとか。実家に帰って…。なんとか発情の熱が冷めるようにしてます。目が合っただけでも尻尾を振っちゃうので。
きみたろは旦那さんとも仲が良いですか。
私がいない時は寂しいみたいでずっと夫に寄り添って離れないんだよって自慢されます。あと家族みんないる時にきみたろも出してるんですけど息子の世話をする時にきみたろがそばにいると危ないので、夫に「持ってて」と頼むと夫の手をひどく噛んでますね(笑)。
あと、何かびっくりして飛び立つ時にどこに降りるかっていうとだいたい夫の所に降り立ちますね。安全な場所だとは思ってるみたいです。
ご出産前後の時のきみたろの様子はどうでしたか。
出産直前のお腹が大きくなっていた頃は、お腹の中に何かいるなっていうのはなんとなく分かっていたみたいでよくお腹の上に乗って一緒に寝たりとかはしてたんですよね。で、出産して子どもが家に来た時には家具の配置なども変えたので戸惑ってはいたんですけども、何かいるなっていうのは察していたからか、すんなり受け入れてくれたんではないかと思いました。
きみたろも(子どものことを)観察してきみたろなりに考えて、この小さい新入りはみんなの手を借りて世話をしなければいけないんだなっていう結果に落ち着いたみたいで、ベビーベッドの柵とかによく止まってじっと見てたりとか、子どもがぎゃーって泣いてると一番最初に飛んで行って様子を見にいったりとかしてました。
かしこいですね。
そういうつもりで行ってるのかは本人じゃないと分からないですけど、わたしが見た感じではそういうふうに映りました。
出産直後のきみたろのお世話は?
出産して退院した後に産後ケアの施設に一週間くらい泊まって体を休めていたので、その間は夫がお世話してくれて。たまに産後ケアから一時退院してきみたろに会いに行ったりしてました。
その時はカメラをつけてきみたろを見ていた?
そうです。あと夫から起きた時の体重とかの写真を送ってもらってました。
旦那さんもとても協力的ですね。
きみたろのことが大好きみたいで「家族だ」って言ってるので。
出産することにあたって一番心配だったのがきみたろのメンタルだったんですよ。どうしても子ども中心になっちゃうので、きみたろがストレスを抱えたり嫉妬しちゃうんじゃないかっていうのがすごく心配だったので、こう言うとあれなんですけど命に別状がない限りはきみたろファーストで、何かあったら子ども、みたいな気持ちではいました。でもどうしても放鳥時間は減っちゃったし、出せる時間が短くなってた期間があったので、出せる限られた中できみたろのことが好きだと伝えるようにはしていました。
息子さんと文鳥との距離感は?
どんな気持ちでいるんだろうとよく思うんですけど、端から見てると友達以上という感覚ではいるみたいですね。とても心配するし子どもなので動きがわちゃわちゃしたりする時があるんですけど、ボール投げたりとか。でもそうするときみたろはボールが怖いんですね。怖がってキャンキャン鳴いてたりすると「きみたろ怖がってるからやめて」って注意するとやめてくれたりとか、きみたろのためにはちゃんと言うこと聞いてくれるようになりました。
あとこの前トミカの車を並べてたらその間をきみたろが歩いてたんですけど、息子が消防車のトミカを動かして「きみたろ避けてください」って言って二人で遊んでいました。きみたろもちゃんと避けるんですよね。息子なりに距離感をちゃんと掴んでいるようで乱暴もしないし、きみたろも息子をつついたりしないので。
二人、通じ合ってるんですね。
最近はきみたろも息子ともっと仲良くなりたいそぶりを見せていて、私にするように服の中に入ろうとするのでそれをやめさせるのが大変です。けっこう息子にまとわりついてます。
きみたろが自分の子どもみたいに思っているのでしょうか…。
とにかく「仲間」とはすっかり思ってるみたいですね。お互いに仲間と思っているみたいです。
群れの中の一員という感じでしょうか。
本当にそんな感じです。息子の方も「みんなでやろうね」って言うと「パパと、ママと、ぼくと、きみたろと、」ってきみたろを入れてくれるんですよ。ああ、メンバーに入ってるんだと(笑)。
幼児でも文鳥の魅力が分かるんですね。
多分きみたろがいるからだと思うんですけど鳥が大好きで、鳥を見ると「かわいい〜」って言ってます。英才教育してますね、鳥の(笑)。
保育園でもきみたろの名前を出してるみたいで。私は保育園の先生にはきみたろのことを言ったことないんですけど、お迎えに行った時に「きみたろってお家にいる鳥さんの名前ですか?」と話しかけられたことがあります。
Twitterでのきみたろの人気がすごくて海外の人からのフォローも多かったですね。
文鳥の可愛さは世界共通なんだなと思いました(笑)。
きみたろに虹色の光が写っている写真が一時期すごく拡散されて。それで多分増えたんじゃないかと思うんですけど。ちょうど写真を投稿した時期が海外のLGBTプライドの時期で(※レインボーカラーがシンボルとなっている)、その記事にあわせて写真が使われて(笑)。
インテリアのセンスがとても良いのですがこだわりなどは。
こだわりは全くなくて、きみたろが飛ぶ時に絡まったりしないようなもの、きみたろが怯えたりびっくりしないようなもの、あときみたろが口に入れても安全なものとか、飲み込まないくらいの大きさのものとかを気をつけて選ぶようにしてました。
ちょうど息子がハイハイし初めて動き出し始めた時に助かったんですよね。口に入れても大丈夫だったりとか。
きみたろを飼って良かったことは?
いろんな人と知り合いになれてすごくありがたいです。
きみたろはいくつですか?
今7歳、今年8歳です。
7歳で亡くなった子の話を聞くと色々考えますね。でも毎日考えますよね、お別れのことは。
いつもおやすみカバーをかける時に「おやすみ」って言うんですけど、もしかしてこれが今生のお別れになるかもしれないと思って、毎晩「好きだ」ということを伝えて寝かせてます。
そのままおやすみカバーをあけたら死んじゃってたという話も聞くし、病気を隠すから分からないですもんね。
白文鳥の ぴさんなんですけど、ぴさんは特別であまり意識して放鳥はしてなくてただ一緒にいると楽しいなっていう風にしか遊んでなかったんですけど、放鳥してたときに私をじーっと見つめてきてたんですよ。その時はっと思って「私、ぴさんに愛されてる!」ってその瞬間に伝わってきたんですね。それから ぴさんとの関わり方や接し方も全く変わっちゃって、気持ちを伝え合うような接し方に変わっちゃったんですよね。愛情っていうのを教えてもらったのが白文鳥の ぴさんで、本当に特別な存在でもう絶対忘れられないです。
文鳥で愛を知る人多いですよね。
多いですね(笑)。私も(文鳥がいなかったら)ちゃんと生活できなかったかも。だらしないんで、自堕落な生活をしてただろうなと思います。規則正しくなりますよねどうしても。
ぴさんとのお別れがあったから最初の頃きみたろと距離を置いてたんですよね。
別れのことを考えると大変だろうなと思って。きみたろを迎えるまで十年以上間が空いていたので。お迎えする決心がつかなくて。
きみたろとはペットショップで目が合った感じですか?
夫が見初めましたね、きみたろを。何店舗かペットショップを巡っていて、本当は別のペットショップで一羽だけ残っていた他の桜文鳥をお迎えしようと思っていたんですけど、ただちょっと弱々しくて病気っぽい感じだったんですよね。病気っぽいけどかわいいしなぁと悩んでるところを、違うペットショップに行った時に夫がかわいいってきみたろに目をつけて。元気そうだしかわいいし、こっちの子の方がいいんじゃないかってことできみたろをお迎えしました。私は最後まで悩んでました。
夫は事あるごとに「きみたろは俺が選んだんだからな」って言ってます(笑)。
夫に「きみたろってこんな風にインターネットの人に可愛がられてるんだよ」って言うと「俺が選んだしな」ってよく言ってます。
きみたろの性格は ぴさんとはだいぶ違いますか?
だいぶ違うと思います。落ち着いてるっていうか、物事を見定めて判断して行動してる感じですね。大人だなと思います。
きみたろが歳を取ってきて心が通じ合うことは増えましたか?
増えました。何を考えてるか分かるし…分かってるつもりだけなのかもしれないですけど、きみたろが何を思って何をしたいのかが何となく分かるし、目線で呼ぶだけで来てくれたりとか、手が塞がってる時には待っててくれたりとか。何でしょうね、通じ合ってるなっていうのはよく思います。かしこいなぁと思いました。すごい助けられてます。