「文鳥と暮らすひと」第13回はシナモン文鳥・クリーム文鳥と暮らすダンさんです。インタビューは2024年1月に行いました。「文鳥の友5号」に掲載された記事の完全版です。奥様の小麦さんにもコメントをいただいています。
シナモン文鳥への愛と情熱がすごい人。シナモン文鳥のぬいぐるみをメインとしたクリスマスツリーは文鳥界の冬の風物詩です。

◾️最初に鳥を飼い始めたきっかけを教えてください。また、文鳥との出会いはいつ頃でしょうか。
ダン
小学校高学年の時、親が十姉妹2羽・桜文鳥1羽を貰って来て、子供部屋に吊るした鳥籠で飼っていました。独身時代は下宿・寮・賃貸住宅などで飼育NGでしたが、現在の家になったタイミングで文鳥を飼いたいと私が言い出しました。
小麦
20年位前にDanさんがペットと一緒の生活がしたい「文鳥とか 文鳥とか 文鳥とか。」というのを聞き、そのとき初めて「文鳥?それは何?」といった感じでした。
ペットショップに誘導され、本物の文鳥と対面したのは言うまでもなく、何かあれば「文鳥可愛いよ!」と口にするDanさんに辟易して友達に愚痴ったら「文鳥さんの面白さはこれで解かるよ」と今市子さんのマンガ「文鳥様と私」が送られてきました。実際に文鳥をお迎えしたら、お世話はほぼ100%私がすることになるから、飼育について調べたり覚悟を決めるのに、1年位時間が掛かりました。
シナモン文鳥との出会いは、ペットショップに行った時に成鳥の仔を見たのが初めてでした。それまで白文鳥や桜文鳥しか見たことが無かったので衝撃でした。もし文鳥と生活するなら、シナモン文鳥が良いなと漠然と思いました。
◾️シナモン文鳥にはまっていった理由は?
最初にお迎えしたのが弥富文鳥シールを付けたシナモン文鳥雛でした。その仔は綺麗な薄いレッドブラウンシナモンの雌でベタ馴れになりましたが、その仔の子供が欲しくて、お相手を探そうとした際、きちんとシナモン文鳥の雛が生まれる相手は色変わり(シナモン)文鳥しかないことが判明しました。でも手乗りを必須条件と思っているので。性別不明の雛で迎えたお相手が雌ばかり。しばらくして雄がいました、その仔とペアにはならず(その仔は飼主がペア相手)いつの間にかシナモン文鳥ばかりの大所帯になっていました。そして羽数の自主制限数(約10羽)に達したため、他の羽色の文鳥をお迎えする余裕が無くなりました。

◾️色変わりの子は体が弱いとも言われていますが、飼育について気をつけていることを教えてください。
個別では強い個体もいますが、文鳥全体でみると、相対的に「色変わり文鳥は弱い」のは事実だと思います。
原因のひとつは、近年になって登場した色変わり文鳥は数が少ないので、劣性遺伝子を顕性化して産出するために強引な近親交配や(繁殖適齢期を過ぎても繁殖させる/休止期間なしで連続繁殖など)無茶な交配が行われてきたこと。
原因のふたつ目は、シナモン系文鳥は強い光に弱い赤目(または葡萄色)であることです。赤目に近いほどいわゆる「鳥目」の度合が強いと思います。暗い場所は見えてないかもしれません。また赤目の仔ほど、眼の関連の病気に掛かり易いと感じます。
以下の事に気をつけています。
1.赤目の仔に直射日光などの強い光を当ててはならない。鳥籠は直射日光の当たらない場所に置く。
2.カルシウム関連で必要なビタミンD3は日光浴による生成ではなく、サプリメントで摂取させる。
3.飲み水や水浴び容器の水は、日頃から(雑菌が繁殖しないよう)清潔に保つ事を心掛けています。
4.半年毎に3日間ずつ、感染症予防のため全員に薬水を飲んで貰っています。
これが目関連にも意外と予防効果があると実感しています。

◾️文鳥の遺伝のことなどは専門的に勉強されたのですか?
いいえ。個人的には本やネットなどで調べた程度です。その中で手嶌楓さんの「ゆる遺伝学」はとても参考になりました。また机上論だけでは解からないので、品評会や希少文鳥(アゲイト・オパール)の実物を見に行って確めたり、ブリーダーさんにお話を伺ったりもしました。あとは我家での実体験です。
◾️シナモン文鳥やクリーム文鳥の繁殖で気をつけていること、注意点を教えてください。
お相手の羽色は必ず配慮します。シナモン文鳥はシナモン文鳥と、クリーム文鳥はクリーム文鳥との交配が最良です。全く同じ羽色でなくても、色変わり文鳥であれば大丈夫です。ノーマル・白・パイド文鳥との交配は避けます。
(よく解からないパイド文鳥や変な体色の雛が生まれると、いわゆる雑種扱いされ、里親が見つかり難くなったり、不幸な文鳥を増やす事になります。)
これ以降は繁殖全般について気をつけていること
1.雌の繁殖適齢期(1歳以上~4歳未満)を守る。
2.小柄な雌は繁殖を避ける。繁殖させても1回だけにする。
3.前回の産卵から2ヶ月以上間隔が空くようにする。
4.発情抑制の対策は行うが、徹底的にやり過ぎて体調を崩されると本末転倒なので、どこかで妥協する(安全に産卵させる方へ舵を切る)事を忘れないよう。
5.複数ペアの場合、繁殖では有利な事があるので繁殖タイミング(つぼ巣を入れる日)を合わせる。
(無精卵だけのペアは、有精卵抱卵・育雛ペアが万が一の場合、バックアップ要員に回ることができる。孵化した雛の数が偏っている場合、育雛負担の軽減ができる。<6羽/2羽/0羽→3羽/2羽/3羽など>)
6.産卵1週間後を目途に検卵を行い、変形卵や小さい卵は早めに偽卵へ交換。
7.育雛は基本的に親鳥に任せるが、雛が4羽以上の場合、親鳥の育雛キャパシティを超えているかもしれないので、あまり信用し過ぎない。
8.特に末っ子は、満足に餌をもらえていない事が多いため、重点的に注意。
(臨時で雛達へ給餌アシストする場合を考慮すると、パウダーフードをマイクロシリンジで給餌する方法が良い。その際、マイクロシリンジの先端を更に極細に削っておくと雛の嘴に入れ易い。)
9.雛5羽以上の場合、上3羽は早目に巣あげして、親鳥の給餌負担を減らす。
10.問題が発生しても、対処できるのは飼主しかいないと腹を括って、すぐ対処する。
11.軟卵を産んだり、問題有りの雛が誕生したペアは、次回以降の繁殖は行わない。
◾️繁殖させるためにはペアの相手を見つけるのが大変だと思いますが、どうやって探していますか?
初期の頃はペットショップやホームセンターを巡って探していました。しかし結果は問題有りの仔が多く、これはダメだと感じました。
次にSNSや掲示板で文鳥里親募集に応募しました。これも現物が見れないのと、業者まがいの人もいるため当たり外れが大きく、本当に良いと感じる仔は応募が殺到してすぐ決まってしまいます。
現在ならばXなどで鳥友さん宅の様子をチェックして、雛が生まれたという情報を入手したら、里親募集を公に出す前に直接連絡を取り、誠実にお願います。
我家では複数の雄/雌がいますが、血縁関係に問題がない場合、ペア相手を選ぶ権利は我家では雌にあります。そして雌が選んだ雄を優先してペアとします。
